1月18日。
佐藤君のいるドイツの街は、日曜になるとほとんどのお店が閉まっているそうです。
私は今日もスカイプデートするつもりマンマンだったのですが、なんとオフィスにも入れないということが発覚。
佐藤君の家のネット開通は来週すぎになりそうなので、残念ながら・・・と思いつつ、昼過ぎからは友達の子供のサッカーの応援へ行き、夕方には夕日を眺めてまったりと、夜からはご飯を食べて小説を書き始め・・・と結構多忙な感じで充実してたのですが、21時くらいに電話が鳴りました。
佐藤 「何してた?」
さくら 「小説書いてたよ」
佐藤 「俺、邪魔?」
さくら 「邪魔じゃないよ。デイトできなくて残念だなーって思ってたもん」
佐藤 「じゃあ、デイトする?」
さくら 「え、会社入れないんじゃなかったの?」
どうやら自分のPC持ち込み可のネットカフェがたくさんあるらしいとのこと。
佐藤君のPCだったらカメラもついてるし、確かにできるかも・・・。
さっそく実行に移すことにしたわけですが、実際に向こうのネットカフェに入ってみると、日本のネットカフェ(というか漫画喫茶)とは全然違って、囲われた個室などはないわけで、カメラの向こうの佐藤君の後ろには人がウロウロ。しかも会話をするのは厳しいので、佐藤君は手打ちチャットで、私だけがマイクを通して喋ることに。
待ってる間にメガネを外しコンタクトをつけ、ちょっとお化粧もしてて本当によかった・・・
普段の醜態をデュッセルの見知らぬ人々に見られてしまうのは、抵抗がありますもん。
話をしつつ、時折旅行者らしい人から何かを聞かれる佐藤君。通訳の為に席をたつこともしばしば。
佐藤君には言わなかったけど、スピーカーだけイヤフォン繋いでるだけなので、向こうの音声はこちらに筒抜け。二人目の女(ちょっとギャル系。でも可愛い)に通訳を頼まれた後も、「こっちに住んでるんですか?」とかなんとか、PC画面に私が映ってるのを知ってか知らぬか質問攻め。
ギャル 「すごーい!来月から***(名前的にジャパレス?)で働くんで、慣れようと思って早めにきちゃったんですけど、日曜日にお店が休みって知らなくてぇ~」
佐藤 「はぁ、そうなんだ」
ギャル 「そうなんですよぉ~」
佐藤 「あはは・・・(乾いた笑い)」
ギャル 「平日はお仕事されてるんですかぁ?」
佐藤 「あ、うん、平日は仕事してる」
ギャル 「よかったらいろいろ教えてもらえませんかぁ?」
佐藤 「あぁ、俺もきたばっかりだからそんなに知らないんだけど・・・」
ギャル 「でもドイツ語ぺらぺらじゃないですかぁ!」
佐藤 「ぺらぺらってほどじゃないよ、ちょっとした日常会話ぐらいで」
佐藤君、ちょっと押され気味な上に、私の方をちらちらと気にしてる・・・
私と言えば、ちっとも楽しい状況じゃありません。
イヤフォン外してるので、こっちの声も届きません。
ギャル 「じゃあケーバン教えてもらってもいいですか?」
佐藤 「あ、うん・・・」
ケーバンの意味がわからなかったのですが、ギャルが携帯を取り出したのを見て理解しました。
二人はよりにもよって、私の目の前で携帯の番号交換を・・・
さすがにむかついて、プリンターの紙を掴み取り、太目のマジックでこう書いてカメラいっぱいに映してやりました。
YOU, ASS HOLE (意味は
こちら)
空気の読めんアホギャルにはわからんだろ、と思ってあえて英語で。
慌てた佐藤君、「ごめん、ちょっと彼女がさ。ごめんね」と優しく謝って(これもむかつく)、こっちに向きなおりました。
佐藤 『ごめん!怒るなよ』(※『』は手打ちチャットです)
さくら 「(画面そのままで)会話がぜーんぶ聞こえちゃってたよ。観光案内してあげるんでしょ?行ってくれば?」
佐藤 『聞こえてたなら困ってたのわかるだろ』
さくら 「私がいたのが気まずかっただけでしょ」
佐藤 「お前さァ・・・(ため息)」『無難な対応しただけだろ』
さくら 「そうやって出会うんだね。よーくわかった」
佐藤 『何が言いたいの?』
さくら 「・・・・・なんだかわかんないけど」
佐藤 『嫉妬したんだ』
さくら 「嫉妬じゃないよっ、わかんない、嫉妬かもしれないけど・・・」
佐藤 『(にやっと笑いやがって)その紙どけて』
さくら 「嫌」
佐藤 「みんな見てるし、これ以上恥かかすなよ」
口頭で言われて、紙をどけました。
佐藤 『(にやけてじーっとこっちを見てから)かわいいよ』
さくら 「余計むかつくっ」
佐藤 『意外に嫉妬深いんだな』
さくら 「じゃあ佐藤君が逆の立場だったら?」
佐藤 『キレる』『許さない』『ぶっ殺す』
さくら 「・・・じゃあわかるでしょー?」
佐藤 「ごめん」『本当にごめん!』
さくら 「気持ちはわかるの、私も海外でそういうことよくあったし、案内してあげたいとか思うけど・・・」
佐藤 『尻軽女!』
さくら 「はぁ?どの口が言う?」
佐藤 『口では言ってない』
さくら 「ふざけないでよっ!もー、いいよ。無理に私と付き合うことないよ。こんなことでイライラしたくない・・・」
と、喋ってる最中に突然席を立った佐藤君。
私も釈然としないままそんなことをされて、憮然とするしかなくて・・・かなりガックリしてたら、携帯が鳴りだしまして。言うまでもなく佐藤君だったんですけど・・・
佐藤 「お前さぁ、こっちが喋れない環境だからって、言いたい放題言ってんじゃねーよ」
さくら 「そっちこそ文字打ちだからってひどいじゃん!」
佐藤 「俺は嫉妬深いんだよ!知ってんだろ!」
初めて自ら認めた佐藤君でしたが、私だって相当むかついてます。
さくら 「嫉妬深いなら、嫉妬させるようなことしないでよ」
佐藤 「別にしたつもりねーし」
さくら 「自分がされて嫌なことしないでって言ってるの」
佐藤 「当たり障りなく対処するべきだろ、さっきのケースだったら。店の中、結構混んでたんだぞ」
さくら 「携帯まで教えることはないじゃん」
佐藤 「教えてねーよ。お前があんなことするから」
さくら 「やってなかったら教えてたんでしょ?」
佐藤 「教えたって別にかけたりしねーよ」
さくら 「かかってくるかもしれないでしょ」
佐藤 「かかってきても会ったりしないし」
さくら 「そんなの私にはわからないじゃん」
佐藤 「そうだけど、お前が嫌がることはしないよ」
さくら 「佐藤君、自分でも男前って言うじゃん。もっと自覚してよ。男前なんだから、佐藤君がどうであれ、女の子が寄って来ちゃうんだよ?だから男前のダーリンなんて嫌だったんだよ。もー、ほんとに・・・」
泣けてきたけど、泣いてることは悟られないようにしてました。
正直、面倒くさい女になってるなーと自分のことにもがっかりでした。
さくら 「・・・私、面倒くさいね。ごめん」
佐藤 「俺さぁ、今外にいるわけ」
さくら 「うん」
佐藤 「コートも中に置いてきちゃってて、雨も降ってるわけ。ここって、屋根ないの」
さくら 「え・・・傘は?」
佐藤 「傘さす余裕もなかったの。いい加減わかれよ、どういうことか」
慌ててすぐに中に入るように言いました。部屋に戻ってシャワーを浴びろとか、いろいろと・・・
氷点下近い中で雨に濡れたら・・・すごく申し訳無くて心配になりました。
佐藤 「謝らなくていいよ。俺のことそんなに好きってことだろ?」
さくら 「好きだよ。すっごい好き」
佐藤 「俺もすっげー好き」
これを書きながら思い出してても、胸がきゅーんてするし、泣きそうになります。
突然スカイプに戻ってきた佐藤君は、本当に濡れてました。(ずぶ濡れじゃなくてホッとしました)
ティッシュで涙を拭ってる姿を見られてしまい、恥ずかしかった。
私はいつからこんなに嫉妬深くなっちゃったんだろう。
佐藤君と付き合うようになってから、これまでの自分の恋愛観が崩壊していってる気がします。
日本時間の夜中1時半くらいまで、スカイプしてました。
(私はもっとスカイプしてたかったんだけど、早寝しろと強制終了・・・素直にそのまま寝ました)
今朝になって一応Ryoブログをチェックすると、なんと1月4日にうちのブログの存在を密告するメールがあったとのこと・・・焦ってアクセス解析を見たところ、それらしき足跡は発見できず。読んだんだろうか・・・ドキドキ。
Ryoくん、これを読んでたらコメントください。なんかメールで聞くのもやぶ蛇な気がしてなりませんし。
次の記事は、普段滅多に聞けない「愛してる」の言葉と、笑わせるようなことが書いてあって、なんだか佐藤君らしいオチだなぁと思って笑い泣きしてました。
小説的に言うと、「甘い痛み」とでも描写するのかな。
今の私の胸の中。
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続く・・・連載エピソード別・目次は
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