あらすじ:
那覇のラブホテルで並んだ二人。
「転勤が決まったら、どうする?」ときいた佐藤くん。その言葉に、さくらは・・・
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さくら 「どうって・・・私も考えたけど、今と変わらないよ」
佐藤 「海外、行きたくない?お前英語もできるんだし、問題ないだろ?」
さくら 「そんな簡単に行けないよ・・・」
佐藤 「東京でもダメなのに、海外なんてありえない?」
さくら 「佐藤くんはどうしたいの?」
佐藤 「俺は・・・お前が一緒に来てくれたら、嬉しいけど・・・」
私の顔を見ないまま、そう言いました。
さくら 「ねぇ」
佐藤 「ん?」
さくら 「こっち向いて?」
目を合わせると、佐藤くんは不安そうな顔をしていて、私は思わず彼を抱きしめてました。
さくら 「すぐに行くとは言えないけど、このまま行ったら、きっと傍に行くんだと思う」
佐藤 「遠距離続けてってこと?」
さくら 「うん」
佐藤 「どれくらい待てばいいの?」
さくら 「どれくらいとは言えないけど」
佐藤 「俺と結婚とか、考えないの?」
さくら 「考えるよ。むしろ考えてるよ、今も。けど、今すぐは難しい」
佐藤 「なんで?結婚するのになんでそんな迷うの?俺とじゃ不安なの?」
さくら 「結婚は2回目だし、やっぱりもう少し時間かけたい。別に佐藤くんだからってわけじゃなくて、そう思う」
佐藤 「結婚するのが怖いの?」
さくら 「怖いよ」
佐藤 「もうさぁ、そう言われたら何にも言えねーよ。俺結婚したことないし、お前が怖いって言うの、正直どういうことか100%はわかってやれないしさ。結局俺がどれだけ待てるかってことだろ?」
さくら 「うん・・・」
佐藤 「毎回同じことだな、俺の環境が変わっても、お前の考えは変わらないんだよな。あーあ・・・」
さくら 「佐藤くんさえ大丈夫だったら、遠距離だけど繋がってたい」
佐藤 「俺と別れたくないってこと?」
さくら 「うん。別れたくない」
体を離して、佐藤くんは私の顔を覗き込みました。
まるで何かを確認するかのように。
佐藤 「俺、あんまり気が長い方じゃないよ」
さくら 「うん。出来るだけ早く決断はするつもり」
佐藤 「そんなに俺のこと好きになったの?」
さくら 「好きだよ。こんなに好きじゃなかったら迷ってないよ」
佐藤 「また意味がわかんないこと言ってる」
さくら 「好きだから、ちゃんと結ばれて別れるのが怖いの」
素直に言ってみると、佐藤くんは目を逸らして少し考え込んでいました。
佐藤 「・・・俺は大丈夫だよ」
優しい顔になって、ちゅっ、とすると、ぎゅっと抱きしめて言いました。
佐藤 「今なら例え別れてもずっと好きでいられるくらい、好きだ。だから別れないよ」
このとき、自分が何を言ったか思い出せません。
ただ、泣いた記憶しかなくて。
この言葉を嘘だとは言わないけど、嬉しい分、いつかなかったことになるのかもしれないと思うと、複雑で。
信用してるけど、好きの気持ちが大きくなるほど未来を信じ切れない。
デザイナーと揉めて、沖縄でのメインクライアントを失う可能性が出ているし、ある意味なにもかも振り出しに戻って、彼と一緒になるいいチャンスかもしれないと思いつつ、何も持ち合わせないで彼だけに付いて行くことがなおさら怖くもあり・・・。
佐藤くんは、翌日、夕方の便で東京へ帰って行きました。
・・・エピソード4へ続く・・・
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COMMENT
二度目まして
読んでて先も気になるけど、すっごく切ないです。。。
今の連載って2ヶ月前の話なんですよね?
最近の日記でまだラブラブみたいなんでホッとしながら、続きを楽しみにしてます!
Re:二度目まして
だいぶ最近に近づいてきました。
好きだから怖いって気持ちはまだ消えてないんですけど、私も読み返してみたら自分の変化が見えて不思議な気持ちになりました。