前回までのあらすじ:
嵐を巻き起こした佐藤くんが東京へ戻っていき、トシくんにも告白の返事をしたさくら。
平穏な日々が戻ってきたと思ったら・・・
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6月26日。この日は友人カップルが遊びに来てたので、執筆の傍らご飯を一緒に食べたりと平和で穏やかな感じ・・・だったのも夜になるまでで、20時ごろ、近隣のゲストハウスから午後3時にシーカヤックで出かけた男の子が帰らないと、海上保安庁や漁業組合まで出動する大騒ぎになり、私たちも一緒に捜索活動することに。
21時半、無事に見つかったとの連絡が入った頃から、大雨と落雷(地面が揺れるほど!)で部屋にも帰れないわけで、3人でずーっと雨宿りしつつ、日付が変わっても動けず。
佐藤くんからの着信がたくさんあったのに、部屋に携帯を置きっぱで出られず、夜中3時くらいに部屋に帰りついたものの、寝てるだろうからとかけなおさずにいたら、翌朝8時から電話がなりっぱなし。朝の弱い私がようやく9時くらいの電話に出ると、ものすごく静かに怒ってました。静かに怒るって一番怖いと思うんですよね。無言の圧力が半端なくて。
事情を説明しても、作り話みたいじゃないですか?リアルに起こったことなのに、嘘っぽい出来事っていうか。
佐藤 「もういいよ」
さくら「もういいって何?」
佐藤 「本当でも嘘でもどっちでもいいよ」
さくら「本当だし、嘘つく必要もないし、その言い方はカチンとくる」
佐藤 「だって俺、傍にいないから確かめようがないだろ?」
さくら「信じてくれなくていい。けど、信じてくれないような人とはやっていける自信はない」
寝起きなので、こちらも思考能力がないに等しいわけです。そりゃストレートに言ってしまいます。黙り込んだ佐藤くん。黙らないさくら。
さくら「昨日、トシくんには付き合えないって言ったから」
佐藤 「俺のことは?」
さくら「もっと話したかったって言ってたよ」
佐藤 「そうじゃなくて、俺と付き合うからって言ったの?」
さくら「何て言ったかまで報告しなきゃいけないの?とにかく付き合えないって納得してもらえたと思う」
トシくんが本当に納得してくれたかは定かじゃないなぁと、この時ようやく目が覚めてきました。
とりあえず佐藤くんとの電話を終わらせ、疲労困憊な私は二度寝。11時くらいに目覚めると、いつものように海で水浴びして、シャワー、ごはん、執筆・・・。
友達がちょっと遊びに来て、4人くらいでお茶してから、夕方は図書館へ。帰りにゲストハウスでネットを繋ぎ・・・って毎日の生活パターンを羅列してるだけですが、平和な日々だとこんな感じなんです、はい(早くネットとクーラー修理来ないかなぁ・・・)。
28日。夜に佐藤くんと電話。昨日と打って変わってしんみりモードです。
佐藤 「あれからトシと連絡とった?」
さくら「取ってないよ」
佐藤君、しみじみとため息をついて言いました。
佐藤 「あいつ、ものすごいいいやつだったからさ、相手がお前じゃなかったら応援してやりたかったんだけどな。なんか自分が荒んでるような気にさせられた、あいつと喋ってると」
さくら「うん、わかる。昨日ね、トシくんに言われたんだ。人を好きになるのって、時も場所も状況も選ばないもんだって。なんかもっと違う言い方が出来たんじゃないかって考えちゃった」
佐藤 「結局、なんて断ったの?」
さくら「恋愛モードじゃないって言った」
佐藤 「なんだそれ」
さくら「だって本当にそう思ったから・・・」
佐藤 「じゃあ俺はどうなるんだよ。俺とはどうなの?」
さくら「どうって?」
佐藤 「俺とは恋愛じゃないの?」
さくら「今は・・・恋愛だけど、なんかまだ実感が沸いてないっていうか・・・一瞬先は・・・闇って言うか・・・」
気まずい沈黙が流れました。
正直佐藤くんはいつ心変わりしてもおかしくないって思ってました。
東京にいたら、魅力的な女の子は吐いて捨てるほどいるわけです。
振られることをわかってて、みすみすハマるほど、経験がないわけでもないんです。
さくら「まだ、様子見してるところあるかも。正直、急にこんな事になったから、頭がついていけてないの」
佐藤 「頭で考えるなよ、そんなこと。俺だって頭で考えたらわけわかんねーけど、考えるよりも先に感じられるから、なんていうか、好きってたぶんそういうことなんだと思うようになった」
たぶんそうなんだと私も思いました。
自分の胸に聞いてみても、よくわからないと言われてしまう。不意打ちでドキンとしたり、切なくなったり、恋しくなったりはするんですけど、それらをひっくるめて『好き』ってことにしてしまってもいいのか・・・好きは好きだけど、恋なのかがわからない。
佐藤 「もう、俺的には超事件だったから。今回のこと」
さくら「今回のこと?」
佐藤 「のっぴきならねー事件だってこと、お前とのことが!様子見してないで早く俺にハマれよ」
さくら「(思わず)嫌だよ、そんなの」
佐藤 「なんでだよ!あー、もうすっげーむかつく」
さくら「佐藤くんて、熱しやすくて冷めやすいタイプじゃない?」
佐藤 「失礼なやつだな。そういう時もあったけど、今そう思われるの腹立つ。馬鹿にしてんの?こんなに、俺・・・(深いため息)とにかくヘコむからそういうこと言うなよ」
さくら「ごめん」
佐藤 「俺のこと好き?」
さくら「毎回同じことばっかり聞かないでよ」
佐藤 「明日から聞かないから、今は言って?」
さくら「・・・好きだよ」
佐藤 「・・・すっげー某読み」
さくら「だって恥ずかしいんだもん」
佐藤 「もっと感情込めて言って?」
何にも考えなければ、佐藤君を素直に信じられればいいのに。
だけどやっぱりハマるのが怖いんです。
いっそのことデブハゲブサイクでプー太郎くんだったらよかったのに。
スペックが高すぎる男は、今の私は対等になれる気がしないんです。
・・・続く・・・
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