2月4日（水）
今日は久々の美容院。佐藤君のオーダーどおり、長さは残したまま薄くしてもらい、ゆるっとパーマをかけてみました。なんだか内地にいた頃の自分を思い出します。ちょっとお姉さん系な感じになりました。
気になる居候くんですが、佐藤君からのメールによると・・・
大学卒業後、深夜特急的バックパッカーになって香港からアジアを周り、ユーラシア大陸を転々とし、ヨーロッパに入ってからお金が尽きて、ドイツのフランクフルトでアルバイトをするも1ヶ月もしないうちに解雇。なけなしのお金でデュッセルの日本人向けの店でのアルバイトを探しにくるも、道中でスリに合い一文なしに。ヤケを起こしてアルトビールを飲みに行った酒場で佐藤君と遭遇。心細い中「日本人ですか？」と声をかけ、元バックパッカーだった佐藤君と意気投合。居候に至る・・・
ちなみに深夜特急とは、沢木耕太郎のドキュメンタリー小説。旅行者のバイブルとして今も売れてる。私ももちろん持ってるけど、何度読んでもおもしろいです。知らない人はぜひ読んでみて！
スカイプが繋がった途端、スーツ姿で「はいはい、もっと下がって！」と髪型チェックが入ります（PCのキーボード触ってると、結構距離が近くて顔しか見えないため）。
佐藤 「なんか、綺麗系のお姉さんって感じ・・・」
さくら 「なに？不満？（椅子に立て膝）」
佐藤 「いや、そのVネックがやらしい・・・」
さくら 「（そっちかよ・・・）」
佐藤 「なんか、ムラムラする・・・」
さくら 「居候いるんでしょ？」
佐藤 「いる。今飯作ってくれてる」
確かに背後でガチャガチャなんかしらの音はしてたけど、キッチンの音だったのか。
さくら 「なんだかんだ便利に使ってるんじゃないの？」
佐藤 「洗濯とかもしてくれててさー、家政婦やります！っていうからさー」
さくら 「えー、じゃあ一緒にお料理できなくなっちゃうの？結構楽しかったのに」
佐藤 「バイト決まったら出てくから、それまでの辛抱だって！」
さくら 「別に私はいいけど・・・」
佐藤 「あ、あっちか。大丈夫だよ。明日からスカイプの時は外出してもらうから。（小声で）
明日はエッチな下着でお願いしまーす♪」
さくら 「いいよ、外寒いんでしょ？いてもらっても一向にかまわないし」
佐藤 「（小声で）
生理終わった？」
さくら 「ほとんど終わったよ」
佐藤 「（小声で）
じゃ、明日は裸にバスローブでお願いしまーす♪」
さくら 「もう・・・」
佐藤 「（小声で）
ほんとは、今すぐ脱がせたーい」
聞こえないように言ってるつもりなんでしょうけど・・・若者の前で醜態さらしたくないんだろう。男性の前ではシュッとしてますからね、いつも。
さくら 「居候見たーい！紹介してよ」
佐藤 「（振り返って）おい、ナベー！（はいっ！といい返事）ちょっときて！」
ナベ 「・・・なんっすか？（佐藤君の後ろに立つ）」
佐藤 「彼女（紹介される）」
ナベ 「あー、どうもです！自分、ナベって言います」
さくら 「こんばんはー」
ナベ 「彼女さん、ちょっと胸が・・・」
さくら 「あ、ごめんなさい（立て膝だったので胸が寄っていた）」
ナベ 「いや、自分は全然いいんっすけど、最近女の人といろいろないんで、刺激が・・・痛っ！（佐藤君にどつかれる）」
佐藤 「いつまで見てんだよ・・・」
ナベ 「あ、じゃ、自分、料理に戻りますっ！」
ナベくん、ものすごいおもしろい子です。これは拾ってあげたくもなるな・・・佐藤君が写真をブログに載せてくれたので、よかったらどうぞ（かなり汚いけど・・・）。
さくら 「いい子そうじゃん。ちょっと天然ぽいけど」
佐藤 「けどさー、いろいろ大変なんだよ」
佐藤君てば、ここぞとばかりにチャットの手打ち。
『このままだと不法滞在になるし、バイトも本当はまずいんだよ』
ビザの関係でいろいろややこしいわけです。ビザなしでシェンゲル加盟国（説明するのがややこしいんですけど、ヨーロッパで日本人がよく旅行で訪れるような国はほとんど加盟してる）に滞在できるのは90日以内と決まっていて、ナベくんは残り1ヶ月もないらしいんです。
この不景気にビザもない上に短期だったら、バイトですら見つけるの難しいだろうに。このままだと脱出の為の旅費を佐藤君が出してしまうんじゃないかって気がしました。
とりあえずドイツで日数的にも金銭的にもできる限り稼いだ上で、日本と独自同盟を結んでいるオーストリアへ脱出・・・と考えてるらしいんですけど。
さくら 「ねぇ、大丈夫なの？」
佐藤 「なにが？」
さくら 『（手打ち）不法滞在者隠蔽の罪とかにならないでね』
佐藤 『なんとかするから大丈夫』
本当に大丈夫なの？？心配になってきます・・・
結局気まずくていつもより短いスカイプとなりました・・・
（夕飯は炒飯だったようです）
若い時って無茶してもなんとかなるだろう！って気が大きくなることもあると思うけど、片道の航空券で入国審査を通ってきた運のよさがどこまで続くもんなんだろう？オーストリアに入国できても、ギリギリいっぱいドイツにいたら、陸路での脱出は不法滞在扱いになるし。
強制送還で日本帰国になっちゃったら、もう海外旅行もできなくなっちゃうぞー！
・・・と言いつつ、私は佐藤君の方がずっと心配です。
会社も絡んでるわけだし、何かあったら佐藤君がどうなっちゃうのか、、、
ダーリン、お願い。
ナベくんを説得して、実家から送金してもらうようにしようよ。
仮にバイトができたとしても、ヨーロッパの物価ではやっていけないよ。一度帰国させた方が彼の為でもあるんじゃない？
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続く･･･連載エピソード別・目次は
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