前回までのあらすじ：ラブラブモードが一転、すっかり気まずくなったまま転勤前の最後の出張でドイツへ行ってしまった佐藤君でしたが・・・
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12/17
毎日欠かさずなんらかの連絡があっただけに、スカイプも電話もさっぱりになると逆に気になってしかたない。
昨夜うまく寝付けなくて、この日起きたのは10時。ドイツは夜中の2時だから寝てるだろうとメールも控えた。
（佐藤君の携帯メルアドしか知らないもので・・・）
ドイツにいる時、佐藤君は日本時間の早朝7時（独23時）、15時（独7時）、20時（独12時）くらいのどこかしらで必ず電話をくれてました。
それが・・・ぱたりと途絶えたわけです。
夜になって、翌日プレゼンで朝から那覇ゆえに早寝しなきゃいけなかった私は、佐藤君にメール。
翌朝早いから、日本時間7時（独23時）にスカイプつなぐから、よかったら繋いでねと・・・メールの返信はありませんでした（仕事中だったからかもしれませんけど）。
12/18
翌朝、PCをつけると佐藤君はすでにオンライン。
私の方から話しかけました。
さくら 「おはよう」
佐藤 「おはよう」
さくら 「お疲れ様だね、そっちは」
佐藤 「あぁ」
佐藤君は特に笑うでもなく、怒ってるでもなく、立て膝をして瓶のビールを片手にこっちをじっと見てました。
私はうまく笑えなくて、引きつったような不自然な笑顔になってたように思います。
スカイプ越しに見つめ合ってることで、余計に遠く感じる。
うまく話せずに沈黙が続いて、顔が見えてるのに、見つめ合ってるのに、心が遠い。
佐藤 「そっちの天気はどう？」
さくら 「うん、今朝はすごい寒いよ。なかなか着替えられないでヒーターの前から動けない」
佐藤 「そっかｗ」
少しだけ笑ってくれた。だから私もにっこりできた。
さくら 「そっちは？」
佐藤 「だいぶ寒いよ」
さくら 「その割りに薄着だね（佐藤くんはロンT着てる）」
佐藤 「室内はあったかいよ、むしろ暑い」
さくら 「そっかｗ」
微笑み合ってるくせに、余所余所しい感じなんです。
気を使いながら、ちっとも楽しくない会話を細々と続けてる私たち。
佐藤 「今日プレゼンなんだろ？何時から？」
さくら 「11時から」
佐藤 「そろそろ支度しないとやばいんじゃないの？化粧はじめれば？」
もうスカイプを切るという意味で言われたかと思って、ちょっと悲しくなりかけつつ 「うん」と頷いたら、
佐藤 「しろよ、しながらでいいし」
さくら 「寝なくていいの？」
佐藤 「まだもうちょっと起きてる」
さくら 「そっか」
化粧を始めた私を見てる佐藤君。恥ずかしくなってカメラの角度をずらしました。
佐藤 「なに？」
さくら 「化粧してるところをガン見されてもやりずらいもん」
佐藤 「別に見てねーって。大してかわんねーし」
さくら 「もー、これからはじめる時にぃー」
佐藤 「カメラ直せよ」
カメラを直して、とりあえずアイメイク・・・
ちらっとPCを見ると、佐藤君は薄笑いを浮かべてビールを飲みながらぐーたらモード。
まるで気まずいことがなかったような佐藤君が見れて、私はもうすごく嬉しくなっちゃって、ずっとヘラヘラ笑ってた。
佐藤 「何ニヤニヤしてんだよ」
さくら 「ううん、別に（嬉しくて仕方ない）」
佐藤 「そんな顔してたらマスカラ、ミスるぞ」
さくら 「（マスカラ集中）えー？」
佐藤 「ほらほらほら、ミスるミスる！（けしかけてる）」
さくら 「あ、ミスった・・・」
佐藤 「ほら言っただろー？」
気まずいは気まずいんです。会話が弾むわけでもないし。
頭の中にNGワードは山のように浮かんでるから、それを口しないように気を使いはするんだけど、佐藤君が私を避けたりしなかったことが嬉しかった。
怒ってて当然なのに、気まずいのに、わざと笑わせようとする優しい佐藤くん。
後ろ髪を引っぱられる様な気分でスカイプを切り、那覇へプレゼンに向かいました。
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続く･･･連載エピソード別・目次は
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